アルトサックスを始めてしばらくすると、こんなお悩みを耳にします。
「高音がうまく当たらない」
「速いパッセージになると指がもつれる」
「音色がいつも同じで、表現の幅が出せない」
マウスピースやリガチャーを色々試してみたけれど、それでも「あと一歩」がなかなか埋まらない方も多いです。
そんな方にこそお伝えしたいのが、
「2本目にソプラノサックスを持つ」ことは、贅沢ではなく上達を後押ししてくれる選択肢になりうる!!
という考え方です。
なぜソプラノサックスがアルト上達につながるのか?
小さな変化が「ごまかせない」=基礎力が一気に底上げ
ソプラノはアルトより管が短く、音程・音色にとてもシビアです。
・わずかなアンブシュアの乱れ
・息のスピードや方向の違い
・指のタイミングのズレ
といった「アルトでは何となく鳴ってしまう部分」が、すぐ音程や音色の乱れとして表れます。
さらに、マウスピース自体もアルトより一回りコンパクトなため、
・くわえる深さ
・口の中の広さ・舌の位置
・息の通り道
といった“口の中のセッティング”の差も、そのまま音に反映されます。
その分、マウスピースのくわえ方や息の入れ方が自然と丁寧になり、アルトに戻ったときのコントロールもしやすくなります。


より繊細な息のコントロールが求められます。
その結果として、
①息のスピード・方向を意識してコントロールする
②口周りの筋肉(アンブシュア)が鍛えられる
③指の動きをより丁寧に行う
といった“リード楽器の基礎”がまとめて磨かれていきます。
➡ ソプラノで培った繊細なコントロール力はそのままアルトに反映され、高音の安定・音程感・音色のまとまりが向上します。
「音程に敏感」になることで、アルトの音程感も改善
ソプラノは音程コントロールが難しいからこそ、自分の耳でピッチを聴き取りアンブシュアや息で積極的に音程を合わせるという姿勢が身につきます。
その結果、
①合奏でチューナー任せにならない
②アルトでも周りの音を聴きながら微調整できる
③“なんとなく合っていない”不安から解放される
といったメリットが生まれます。
➡ソプラノを通じて“耳”と“音程”を動かす技術が育ち、アルトの安定感も一段上がります。
メロディ楽器としての「歌心」が身につく
ソプラノはジャンルを問わず、メロディを任されることが多い楽器です。
・細かなニュアンスのつけ方
・フレーズの山と谷の作り方
・ヴィブラートや強弱の幅
など、“歌うように吹く意識”が高まります。
その感覚をアルトに持ち帰ることで、
①同じフレーズでもより「歌った」演奏になる
②表現の引き出しが増える
③サウンドに立体感が出る
といった変化が期待できます。
➡ソプラノでメロディ楽器としての感性を磨くことで、アルトの表現力も豊かになります。
違う楽器を持つことで「基礎練習」が新鮮になる
毎日アルトだけを吹いていると、どうしても練習がマンネリ化しがちです。
そこにソプラノが加わると、
①ロングトーンをアルトとソプラノで吹き比べる
②スケールを2本で交互に練習する
③エチュードを日替わりで持ち替えてみる
といったように、同じ基礎メニューでも新鮮な気持ちで続けやすくなります。
➡練習のモチベーションが保ちやすくなり、“とにかく吹いている時間”が増えることで、アルトの上達にも自然とつながっていきます。

「2本持つ」のは贅沢ではなく、“音楽をもっと楽しむための工夫”
「1本をカスタム」か「2本目を増やす」か
お悩みのある方の中には、マウスピースやリガチャー、ネックなどのカスタマイズで解決しようか…と考えている方も多いと思います。
もちろん、それもとても有効な手段です。一方で、
・カスタマイズの方向性がわからない
・いろいろ試した結果、結局“吹き手の悩み”が残ってしまった
・もっと上手くなったら、改めて良い楽器やセッティングを選びたい
という方には、
“今のアルト+ソプラノ”という2本持ちで、自分の基礎力と経験値を上げるという選択肢も、練習の質を高めるための前向きな投資と言えるでしょう。
実は「活躍の場」が多いソプラノサックス
ソプラノを2本目に持つことで、
・吹奏楽やアンサンブルで「ソプラノパート」を担当
・カラオケ音源と合わせて、メロディ楽器としてたっぷり歌う
といった楽しみ方が一気に広がり、アルトしか持っていなかったら候補に上がらなかった「ソプラノ向きのレパートリー」や「ソプラノパートのある曲」にもチャレンジできるようになります。
その結果として、アルトでのレパートリーも自然と増えていくのも、2本持ちならではの大きな魅力です。
田中的おすすめソプラノサックス曲3選!
J.B.Singelee/Premier Quator OP.53
サックス四重奏の初期を代表する名作です。ソプラノは細やかなニュアンス表現と粒立ちの良い発音が求められ、サックス四重奏の「声楽的な魅力」「柔らかな響き」が特徴です。
伊藤康英/琉球幻想曲
沖縄の民謡やリズムを題材にした、色彩感あふれる楽曲。ソプラノの粒立ちの良い音色や、スラップタンギングなどの特殊奏法から、歌うような旋律へと一転するコントラストが聴きどころです!
本多俊之/遊戯
ジャズサックス奏者・作曲家の本多俊之によるサックスならではの跳躍やアクセント、スピード感のある楽曲。ソプラノは、リズミカルなフレーズから歌うようなラインまで、アンサンブル全体をリードする重要な役割を担います。
どんなソプラノサックスを選べばいい?
まずは「試奏でアルトとの相性」を確認
2本目だからこそ、
・今お使いのアルトとの持ち替え感
・アルトとソプラノを並べて吹いたときの違和感の少なさ
・音色の好みや、音程のつかみやすさ
を、実際に店頭で確かめていただくのが一番です。
ソプラノには、ネックが2本(ストレート/カーブド)付属しているモデルや、管体と一体化したストレート(ワンピース)タイプなど、いくつか種類があります。構えたときにマウスピースをくわえる角度が微妙に異なるため、吹きやすさや音色にも違いが出てきます。
ちなみに…執筆しているサックス吹き田中はカーブドネック派ですが、田中が実際に感じた吹き心地・音色の違いをまとめてみました☟
| ネックの形状 | 吹き心地 | 音色の傾向 |
|---|---|---|
| ストレート | 息が真っすぐ入りやすい。構える角度によって息の入り方が変わるため、それに応じて鳴り方も変化する。 | 明るく、抜けのよい音色になりやすい。 |
| カーブド | 少し抵抗感があるが、マウスピースの角度がアルトに近く感じられ、持ち替えでも吹きやすい。 | 落ち着いた、柔らかい音色になりやすい。 |

カーブドネック(右)


同じソプラノでも、ストレートネックとカーブドネックでは吹き心地や音色のキャラクターが変わります。
そのため、スペックだけで決めてしまうのではなく、アルトからの持ち替えのしやすさや、欲しいサウンドに合わせて選んでみてくださいね。
まとめ
「アルトもまだちゃんと吹けていないのに、ソプラノなんてやっぱり贅沢…」
「大きな買い物だし、ソプラノも吹きこなせるか不安…」
そう感じる方もきっと多いと思います。ですが、アルトで今まさに悩んでいる方にとって、
2本目としてのソプラノサックスが悩みを見直すきっかけや、新しい発見につながることもあります。
\\息やアンブシュア、音程への意識が一段と磨かれ、その成果がアルトにもそのまま返ってくる//
2本目を持つことは、決して贅沢ではなく「今の自分をもう一歩前に進めるための選択肢」のひとつとして、ぜひ前向きに考えてみてください。
岩田屋福岡店 管楽器アドバイザー 田中 美織(たなか みおり)

クラシックサックスを専門に学んできた経験を活かし、プレイヤー目線でのご案内を心がけています。また、当店はクラシック楽器専門店で、管楽器技術者も常駐しております。
管楽器のお困りごとや楽器選び、メンテナンスのご相談など、どうぞお気軽にお声がけください。

