管楽器技術者に聞いてみた!持ち込み修理あるあると、今日からできる予防ケア

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管楽器技術者に聞いてみた!持ち込み修理あるあると、今日からできる予防ケア

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

「なんだか調子が悪いな…」と思ってお持ち込みいただく管楽器の中には、日頃のちょっとしたお手入れで防げるトラブルが、実はたくさんあります。ここでは、管楽器修理受付で“あるある”な症例と、ご自宅でできるカンタンな予防法をご紹介します。

ケースの締め忘れによる破損

よくあるトラブル

レッスンや部活の移動中、ケースの留め具(バックル/ファスナー)を最後まで閉めておらず、持ち上げた瞬間にフタが開いて、楽器が落下してしまう。
ファスナータイプのケースで、片側だけしか閉めておらず、隙間から少しずつ楽器がずれて階段や電車などで「いつの間にか半分ケースから出ていた」というケースもあります。

落下すると、管体の曲がり、ジョイント部やポストの歪み、キィの曲がり/タンポズレなど、見た目以上に大きなダメージになることが多く、全体調整レベルの高額な修理が必要になることも少なくありません。

予防のポイント

  • ケースを持ち上げる前に「指さし確認」を習慣に
  • 留め具・バックル:カチッと“音がするまで”しっかり締める。ファスナー:端から端まで“1周ぐるり”と閉まっているか目視で確認。
  • 管楽器ケースバンドを付ける

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木管楽器のスワブつまり

よくあるトラブル

サックスのネックに、本体用など「大きすぎるスワブ」を通してしまい、途中で詰まってしまうケースがとても多いです。  
無理に引っ張ると、管体やトーンホールを傷める原因にもなります。

予防のポイント

  • 楽器や部位に合った「正しいサイズのスワブ」を選ぶ   例:サックスのネックには、必ずネック用スワブを使用。
  • 特に大きめのスワブは、通す前に、きれいに広げて“ねじれ・団子状”をなくしてから通す。  

「ちょっとキツいかも…」と感じたら、それは“危険信号”。  無理をせず、サイズを見直しましょう。

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木管楽器のジョイントコルク・ネックコルク剥がれ

よくあるトラブル

コルクグリスをたっぷり塗ったまま片付け続けると、 コルクに油分がしみ込み、接着剤の効き目が弱くなって、コルクが剥がれてしまうことがあります。

予防のポイント

  • 演奏後は  ジョイントコルク・ネックコルクに残ったグリスを、クロスやペーパーでやさしく拭き取る。  
  • グリスは「必要な時に必要な量だけ」 きつくて入らないからと、毎回たっぷり塗るのはNG。  

コルクは、楽器の“関節”を支える大事なパーツ。  日々のひと拭きで、持ちとトラブルのリスクが大きく変わります。
きつさが気になる場合は、無理せず一度ご相談ください。

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木管楽器のタンポ破れ

よくあるトラブル

管体やキィをクロスで拭くときに、タンポ【黄色(もしくは白)い丸い部分】をゴシゴシこすってしまい、  表面の革が傷んだり、破れたりしてしまうことがあります。  
破れたまま使い続けると、音程・音色・吹奏感に大きく影響します。

予防のポイント

  • お手入れのときは、クロスで「金属部分だけ」を拭くイメージで、タンポを直接こすらない。  
  • タンポ周りに水分がたまったときは、専用のシートペーパーなどを“そっと挟んで吸い取る”だけにとどめる。  

見た目には小さな破れでも、音の世界では“とても大きなダメージ”になるパーツです。

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金属製木管楽器の嵌合(かんごう)不良※ジョイントが固い

※フルート・金属製クラリネットなど、金属同士でジョイントしている楽器が対象です。

よくあるトラブル

組み立てや分解のときに「固くて回らない・抜けない」とご相談いただくケース。  ジョイント部分に水分や汚れがたまり、金属同士が“吸いつくようにくっついてしまう”ことが原因のひとつです。

予防のポイント

  • 組み立て前に、ジョイントテノン(差し込み側)と、ジョイントソケットの内側を、柔らかいクロスで一度さっと拭いてから組み立てる。    
  • 演奏後は、テノン表面についた水分を、ガーゼやスワブでていねいに拭き取る
  • 「いつもより固い」と感じたら、力任せにねじらず、まずは汚れの有無を確認。  

固いまま無理に回すと、管体の曲がりや歪みにつながる恐れがあります。

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サックスのネックスクリューを締めても、ネックが固定できない

よくあるトラブル

ネックスクリューを最後まで締めても、ネックがグラついてしまう。  ねじ山に削れた金属粉が溜まり、正しく締め込めなくなっているケースが多く見られます

予防&対処のポイント

  1. まずは、ネックスクリューを「いったん抜く」。  
  2. 次に、スクリューの雄ねじ側、本体側ソケットの雌ねじ側を、綿棒やブラシなどでやさしく掃除する。

特にソケット側のねじ山の掃除には、トーンホールクリーナーのような“細くて柔らかいクリーナー”があると便利です。  
掃除をしても改善しない場合は、ねじ自体の摩耗や変形が考えられます。  
そのまま使用すると、演奏中にネックが動いてしまう危険もありますので、早めの点検・調整がおすすめです。

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まとめ

いかがでしたか?上記のようなトラブルは、「少しでもおかしいかな?」と感じた段階でチェックすることで、  大きな故障や高額な修理を未然に防げることも多くあります。

– スワブが詰まってしまった  
– ネックやジョイントが固くてこわい  
– タンポやコルクが心配 …など  

気になることがありましたら、お気軽に店舗スタッフまでお声がけください。  

岩田屋福岡店 管楽器アドバイザー 田中 美織(たなか みおり)

クラシックサックスを専門に学んできた経験を活かし、プレイヤー目線でのご案内を心がけています。また、当店はクラシック楽器専門店で、管楽器技術者も常駐しております。

管楽器のお困りごとや楽器選び、メンテナンスのご相談など、どうぞお気軽にお声がけください。

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