この連載はアンサンブル愛好家の中の人がアンコンにおすすめの曲を紹介していくという連載です。
目指せ金賞と冠していますので少し難易度高めの曲を中心に紹介していきます。今回紹介するのは海外作曲家のサックス四重奏です。
アンコンで演奏されるサックス四重奏と言えばデザンクロ『サクソフォン四重奏曲』、リヴィエ『グラーヴェとプレスト』等が有名ですが、この場であえておススメしなくてもよく演奏されていると思いますので今回は紹介しません(笑)。
上記2曲と比べるとアンコンでの演奏機会は少ないですが、負けず劣らずの金賞を目指せる曲を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
アンダンテとスケルツォ(中~上級者向け)
楽曲情報
- 作曲者:ウジェーヌ・ボザ
- 演奏時間:6分30秒(約)
- グレード:5
- 編成:サックス4重奏(SATB)
曲について
テナーサックスのソロから始まるこの曲は、曲名通り「緩-急」の2部構成の曲となっています。全国大会での演奏歴もある名曲です。
前半のアンダンテでは4パートのハーモニーと歌心がポイントになってきます。アンコンではバリトンサックスソロの前の約1分30秒地点でカットし、スケルツォを全て吹く構成が多いかと思います。
後半のスケルツォ部分は軽快な6/8拍子になります。アンダンテ部分としっかり対比できるようある程度の速度を持った演奏が好ましいですが、タンギングをやりすぎて響きが失われないよう注意が必要です。
余談ですがピエール・ランティエ作曲の「アンダンテとスケルツォ(スケルツェット)」というサックス四重奏曲もありますので、楽譜購入の際は間違いがないか注意をしてください。
民謡風ロンドの主題による序奏と変奏(中~上級者向け)

楽曲情報
- 作曲者:ガブリエル・ピエルネ
- 演奏時間:8分30秒(約)
- グレード:5
- 編成:サックス4重奏(SATB)
曲について
こちらはバリトンサックスソロから始まるサックス四重奏の定番曲の1つです。こちらも全国大会での演奏歴がある名曲です。
曲名の通り、1つの主題が静かな序奏と緩急激しい変奏で様々な形で登場します。デザンクロと比較すると連符の難易度は高くなく、ある程度の経験があれば演奏することは可能です。ただし中間部のフーガ風の部分以降しばらく難しい音形が続くため、運指に自信がない場合はカットを調整してみてください。
終曲もとても華やかで聴きごたえがあります。バリトンサックスに腕の立つプレイヤーがいる場合はぜひトライしてみてください。
ギリシャ組曲(中~上級者向け)
楽曲情報
- 作曲者:ペドロ・イトゥラルデ
- 演奏時間:10分00秒(約)
- グレード:4
- 編成:サックス4重奏(SATB)
曲について
スペインのサックス奏者&作曲家として活躍したペドロ・イトゥラルデらしくジャズ風な曲調が特徴の曲です。全4楽章で構成されており、アンコンでは3.4楽章を演奏することが多いです。
特に3楽章はジャズっぽさを出すためにベンドやグローなどのアレンジを加えてみても面白いかもしれません。掲載している動画は楽譜通りの演奏でない箇所も多いのですが、吹き方が非常に参考になります。特に2.3楽章が絶品なのでぜひ一度聴いてみてください。
アンコンというとクラシカルな曲が多いイメージですが、ギリシャ組曲のようなかっこいい曲もあります。クラシックは苦手だけどポップス系は得意!というカルテットの場合、一度演奏候補に入れてみてください。
おわりに
今回は海外作曲家のサックス四重奏の曲を紹介してきました。
今回紹介した曲は全て輸入楽譜のため取り寄せになる可能性があり、今年のアンコンには間に合わないかもしれません。その場合は演奏会や来年度のアンコンの選曲の参考になれば幸いです。
次回はサックス五重奏~八重奏でアンコンにおすすめの曲を紹介予定です。お楽しみに!