この連載はアンサンブル愛好家の中の人がアンコンにおすすめの曲を紹介していくという連載です。
目指せ金賞と冠していますので少し難易度高めの曲を中心に紹介していきます。今回紹介するのは五重奏以上のサックスアンサンブルです。
四重奏と比較して人数が多くなる分、迫力や表現力の幅が広がります。人数の問題でなかなか演奏が難しい場合もあるかと思いますが、機会があればぜひチャレンジしてみてください!
ねがい(中~上級者向け)
楽曲情報
- 作曲者:石毛里佳
- 演奏時間:5分00秒(約)
- 編成:サックス五重奏(SAATB)
曲について
この曲は文教大学吹奏楽部の委嘱によりクラリネット五重奏として作曲されたものを作曲者本人によってサックス五重奏にしたものです。全国大会での演奏歴もある名曲です。
冒頭は静かで優しいメロディーから始まり、中間部ではテンポが速まり変拍子を伴うリズミカルな場面に移行。後半はドライブ感に満ちたテンポ感のままリズムの掛け合いが繰り広げられ、最初のメロディーが再び姿を現してドラマチックに終結します。前半は静かなメロディーが多いため音程・和音に注意が必要です。後半は前半との対比が際立つよう音色や音形を作っていくのがおすすめです。
実はサックス六重奏版も出版されており(編成:SAATTB)、テナーサクソフォーンが加わったことで和音の厚みが増しています。どちらもおすすめですが、楽譜購入の際に編成を間違えないよう注意してください!
サクソフォン五重奏のための叙情組曲「エウロパ」(中~上級者向け)

楽曲情報
- 作曲者:光田健一
- 演奏時間:14分00秒(約)
- 編成:サックス五重奏(SATTB)
曲について
この曲はヨーロッパの語源となったクレタ島の最初の王妃「エウロパ」にちなみ、西洋音楽の香りが漂う4つの小品を集め、サクソフォン・アンサンブル用の組曲とした作品です。少し珍しいテナーサックスが2本の五重奏となっています。こちらも全国大会での演奏歴がある名曲です。
全曲通して演奏すると曲名の通りヨーロッパ~ユーラシア全域を旅するような気分を味わえるのですが、約14分の演奏時間となるのでアンコンで演奏する場合はカットが必要です。あまりカットしたくない本曲ですがカットをするのであれば2.3楽章をカットし、1楽章をリピートなしで演奏、その後4楽章をテンポやや早めで全曲もしくは部分カットで演奏するのが良いのではないかと思います。
全楽章美しい旋律が続きますので、音色に自信のあるメンバーが揃っている場合はぜひ演奏してみてください!
La Seine(ラ・セーヌ)サクソフォーン8重奏のための(上級者向け)
楽曲情報
- 作曲者:真島俊夫
- 演奏時間:12分05秒(約)
- 編成:サックス八重奏(SSAATTBB)
曲について
この曲は吹奏楽版「宝島」のアレンジでもお馴染みの真島俊夫氏が、パリを流れるセーヌ川が流れ過ぎる3つの橋周辺の印象を描いたサックス八重奏です。各サックス2本ずつのダブル・カルテット編成となっています。
サックス八重奏の中では定番の曲で、もちろん全国大会での演奏歴もあります!
「I. Pont Neuf」では中間部にスイング・ジャズがありますのでここの吹き方がポイントになってきます。テナーサックス、バリトンサックスにソロがありますので座奏の場合はソロ部分のみ立奏しても良いかもしれません。
アンコンでは「I. Pont Neuf」と「III. Pont Alexandre III」から抜粋し2曲続けて演奏されることが多いですが、各楽章がそれぞれ約4分の曲なので1つの楽章をフルで演奏するのもおすすめです。
グレード表記は4となっていますが、1楽章のジャズ部分の音色や、3楽章の連符など難しい箇所が多くあります。ただ全曲を通して非常に吹きごたえ聴きごたえがある曲ですので、実力あるメンバーが8人揃った場合はぜひ演奏してみてください!
おわりに
今回は五重奏以上のサックスアンサンブルを紹介してきました。
「ねがい」「La Seine(ラ・セーヌ)」の2曲は島村楽器の楽譜便での注文ができません。
店頭での注文は可能ですので楽譜をお求めの際はお近くの島村楽器へお問い合わせください。
五重奏以上でのアンコン出場は、人数や練習日程の都合でなかなか実現しないことも多いですが、出場可能な環境がある場合はぜひ検討してみてください。四重奏では表現の及ばなかったダイナミクスやハーモニーなど人数がいるからこその演奏を楽しめます!
次回はクラリネットのアンコンにおすすめの曲を紹介予定です。お楽しみに!