この連載はアンサンブル愛好家の中の人(筆者)が、アンサンブルコンテスト(アンコン)におすすめの曲を紹介していくという連載です。
今回はクラリネットでのアンコンにおすすめの楽曲をまとめてご紹介します!
少人数~大人数編成まで幅広く、「目指せ金賞」の名の通り、王道からチャレンジ曲まで、人気のクラリネットアンサンブル曲にフォーカスしています。
難易度やポイントも書いていますので、選曲の参考にしてみてください!
スリー・ラテン・ダンス(中~上級者向け)



楽曲情報
- 作曲者:Patrick Hiketick (パトリック・ヒケティック)
- 演奏時間:12分40秒(約)
- 編成:クラリネット四重奏(B♭Cl.× 3、B.Cl.)
曲について
クラリネットアンサンブルといえば必ず名前が挙がる “王道曲”です 。
全国大会での演奏歴も多く、クラリネット奏者なら一度は憧れる名曲です!
いかにもラテン音楽らしい陽気な1楽章「シャランガ・デ・シオマラ・レイエス」(約3分10秒)、ボサノヴァ風の洒落た2楽章「メレンゲ・センプレ・デ・アイチェム・スナル」(約4分10秒)、美しい部分と情熱的な部分との対比が見事な3楽章「ダンサ・ラティーノ・デ・マリア・デル・レアル」(約5分20秒)
の3曲で構成されています。
1つの楽章で演奏されることもありますが、アンコンでは各楽章から抜粋して演奏されることが多いです。
特に1楽章冒頭が大変印象的ですので、どの楽章を演奏するか迷った場合は「1.3楽章より抜粋」もしくは「1.2.3楽章より抜粋」のどちらかで演奏するのがおすすめです(三楽章分楽譜を買うのは大変ですが…)。
また演奏会でも聴き映えする曲です。演奏会の場合はベンドやポルタメントなどの奏法を入れてみても面白いかもしれませんね。
特殊奏法を入れた演奏としてはこちら↓が大変勉強になります!
フォスター・ラプソディ(初~中級者向け)

楽曲情報
- 作曲者:鈴木英史 (Eiji Suzuki)
- 演奏時間:5分00秒(約)
- 編成:クラリネット五重奏(B♭Cl.× 4、B.Cl.)
曲について
1998年に石川県辰口町立辰口中学校の委嘱でアンサンブルコンテストのために作られた作品です。
それほど難易度が高くなく、全パートにメロディが割り振られているため、初めてのアンサンブルでも楽しく演奏できる曲です!
実は全国大会での演奏歴もあります。
曲はフォスターのメロディーの一部分が動機として使われており、「ケンタッキーの我が家」「主は冷たい土の中に」「草競馬」「おおスザンナ」「金髪のジェニー」など誰もが耳にしたことのある旋律が巧みにアレンジされています。
曲構成は「緩-急-緩」となっているため、構成に沿ってメリハリをつけて演奏するのも一つのアプローチです。一方で、この曲は親しみやすい雰囲気のラプソディーなので、曲の切り替わりもあまり大げさにせず、雰囲気で自然に演出してみるのも良いかもしれません。あえて強い対比をつけず、流れを大切にする演奏も試してみてください。
パーテル・ノステル(上級者向け)

楽曲情報
- 作曲者:八木澤教司 (Satoshi Yagisawa)
- 演奏時間:4分50秒(約)
- 編成:クラリネット五重奏(E♭Cl.×1、B♭Cl.×4、A.Cl×1、B.Cl.×1、C.A.Cl.×1)
曲について
2002年に東海大学付属高輪台高校吹奏楽部の委嘱により書かれたクラリネット八重奏です。
高い音楽性と技術を要し、八重奏だからこその厚みと迫力を味わえる一曲で、全国大会でも演奏されています。
荘厳で神秘的な雰囲気が魅力の「パーテル・ノステル」は、ラテン語で「われらの父」の意味を持ち、キリスト教の祈りを題材にしています。ただし楽曲そのものは宗教的というより、自然のエネルギーや未知なる力への畏敬の念を“祈り”として壮大に表現したものです。
構成は【緩-急-緩-急】の4部構成で、重厚なサウンドとスリリングな展開のコントラストが聴きどころです。
緩部分では八重奏ならではの重厚感、急部分では縦型アクセントなどの発音やグリッサンドの吹き方などがポイントです。
八重奏は人数が多い分、フォルテ気味の強弱感になりやすいため、強弱記号の意味やトゥッティでない部分など、8人でのバランスに意識を広げられるとより良い演奏になるかと思います。
おわりに
今回はクラリネットアンサンブルのアンコンおすすめ曲をご紹介しました。
クラリネットならでは、同族楽器の繊細なハーモニーや多彩な表現力は、アンサンブルコンテストでも大きな魅力となります。
少人数から大編成まで、メンバーや編成によってそれぞれ違った音楽の楽しみ方ができるのもクラリネットアンサンブルならではです。
ぜひ、皆さんのチームにぴったりの一曲を見つけて、アンコンでしか味わえない楽しさを存分に体感してください!
今回の記事が曲選びの参考になれば幸いです。
次回は他の管楽器編成のアンコンおすすめの曲をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!